口ゴボとは横から見ると唇が前に突き出し、口元が膨らんだような見た目の状態です。そもそも口ゴボとう言葉は歯科用語でも医学用語でもありません。
誰かがその状態を表現した言葉が、自然発生的にインターネットなどを介して広まったものだと思われます。そのため、「口ゴボとは」という言葉に明確な定義はありませんが、基本的には上顎前歯が突出した「上顎前突」や、上顎と下顎の両方が突出した「上下顎前突」という不正咬合を口ゴボということが多いようです。
口ゴボについては、前述した通り定義はありませんが、上下顎前突のみを口ゴボと説明している記事も複数あります。
ただ、歯科に相談にお越しになる「口ゴボが気になる」患者様の多くは上顎前突の患者様が多くおられるため、どちらも含めて「口ゴボ」として説明していきます。
口ゴボの原因は大きく分けて2つ考えられます。一つは「咬み合わせ」の問題。咬み合わせとは、歯並びのようなもので、上顎の前歯や下顎の前歯が前に張り出したような咬み合わせです。
もう一つは、「骨格」の問題。歯並びとは別に、顎の形状が前に張り出しているなど、骨格的に問題が生じている状態です。
咬み合わせについては、後天的(歯の大きさや習癖・習慣によって)に変わる場合もあります。例えば「指しゃぶり」や舌を前に突き出す「舌突出癖」などが挙げられます。後者の骨格については、先天的な場合がほとんどで、遺伝や生まれつきのものと言えます。
口ゴボの原因が不正咬合という歯並びの問題であったとしても、決して歯並びがガタガタというわけではありません。「キレイに並んではいるけど、前に出ている」というケースが多く見られます。
歯がキレイに並んでいても、その角度が前に出ていれば出っ歯になってしまいます。歯が前に出ることによって口元はモコッと膨らんだように見え、口ゴボになります。
顎先と鼻先を結ぶ線をEラインと呼びます。このEラインより少し内側に唇がある状態が理想的とされ、このEラインより前に唇が出ていると、歯並びがきれいでも口がゴボっとしているように見えます。
歯並びや歯の角度に問題がなくても、唇が分厚いとEラインよりも外側に唇が出てしまうため、口がゴボっとしているように見えてしまいます。
口ゴボ・出っ歯は咬み合わせでいうと「上顎前突」「上下顎前突」「開咬」などの不正咬合です。骨格的な問題であれば遺伝する可能性はもちろんありますし、後天的な咬み合わせであっても、習癖は親を真似たり似通った生活習慣であれば、親が口ゴボなら子供も口ゴボになりやすいと考えた方が良いと思います。
ただし、後天的な原因の口ゴボであれば、幼いうちに指しゃぶりの癖を止めさせたり、舌で前歯を押さないようトレーニングをする、トレーニング矯正・小児矯正などを行うなど、子供の頃であれば口ゴボにならないよう対策することができます。
また、子供の矯正(咬合育形成)は大人の矯正とは違い、顎の成長を促して歯が並ぶスペースを作る矯正です。歯が並ぶスペースを作ることで、歯が前に突き出して生えるのを防げる可能性もあります。
口ゴボの治療は歯列矯正もしくは外科矯正・美容整形にりよって治療が可能です
一般的な矯正装置を着けて治療する方法です。ワイヤー矯正とも言い、あらゆる症例に対する治療実績が最も多い矯正ですが、口ゴボの場合歯を並べるために抜歯が必要になることが多いです。
ブラケットという装置を歯の裏側(舌側)に着けてワイヤーで引っ張る矯正です。舌側矯正とも言い、前突に対して有効な矯正ですが、治療中の痛みや違和感・発音への影響が大きい場合もあります。
透明のマウスピース型矯正装置を使って歯を動かす矯正です。非抜歯矯正が得意ですが、抜歯矯正にも適応範囲が広がってきています。前突に対する適応に限りはありますが、歯を後ろに送ることもできます。
顎の骨を切る手術をして、顎の位置を変える治療です。顎変形症という診断が下れば保険適用による外科矯正が可能です。美容整形による顎切りの手術は保険適用外で、高額な費用がかかります。
顎変形症の外科矯正と美容整形の違いは費用の他に、顎を切って咬み合わせを整える(顎変形症治療)か、顎を切って見た目を治す(美容整形)かというところです。
美容整形は比較的短期間での治療が可能ですが、見た目だけではなく長期的に歯を維持し、咬み合わせを維持する場合は外科矯正の方が適している場合があります。
ただし、以外に思われますが外科矯正をしたからと言って後戻りがないというわけではありません(※1)。骨切り術をしても多少の後戻りはあるため、長期的に咬み合わせを維持するには歯列矯正を併用し、咬み合わせを整えた上で保定装置をつけて保定する必要があります。
※1)多くの計測項目で経時的に後戻りの傾向がみられ,SNB は T2-T4および T3-T4で有意差がみられ(P<0.01),Lower facial height は T2-T4で有意差がみられた(P<0.05)。また後戻り群においては Mandibular plane angle で有意差を認めた(P<0.05)。Lower facial height では有意差を認めなかったが,後戻り群で大きな値を示した。
一昔前まで、口ゴボ・出っ歯はマウスピース矯正が苦手な咬み合わせとも言われてきました。しかし現在では、抜歯矯正や遠心移動による前突治療も可能となり、歯並びが問題の口ゴボ治療はマウスピース矯正によって治療ができる場合が増えてきています。
ただし、骨格的な問題の口ゴボに対しては、今の所「苦手」と言わざるを得ず、ワイヤー矯正や外科手術による治療、もしくは併用した治療が必要になることが多いです。
口ゴボは、ご自身で治そうと思ってもなかなか治るものではありません。特に大人になると、咬み合わせが固まってしまっていますので、歯並び自体を自身で変えるのは難しいと思います。
また、美容整形による治療もありますが、安易に顎の骨を切ると、それなりのリスクがあること、口ゴボの治療には咬み合わせを考える必要があります。
ですから、歯列矯正で治るなら、骨を切るリスクや顔のイメージが突然変わるリスクも回避することができます。
口ゴボの治療には、咬み合わせを考えた歯列矯正がQOL(生活の質)の高い治療となり得る場合も多くあります。口ゴボでお悩みでしたら、歯並びだけでなくEライン、口ゴボが治るかどうか、お気軽にご相談ください。当院では口ゴボに対する治療も得意としています。
この記事の編集・責任者は歯科医師の西森智です。
曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
診療開始 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 |
診療終了 | 18:30 | 18:30 | 13:00 | 18:30 | 18:30 | 17:00 |
診療情報
休診日:日曜・祝日
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||
|
休診日
日曜・祝日診療
13時迄
他のエリアでもアップル歯科の治療を受けられます