親知らずが痛くなる理由は大きくわけて2つ考えられます。
1つは「まっすぐ生えないこと」です。現代人の顎は進化や食べ物の変化によって小さくなってきています。そのため、昔は32本(上顎16本・下顎16本)あった歯が、現在では全部で27本が基本とされています。しかしそれでもほとんどの人に親知らずは生えてきて、生える場所がない親知らずは斜めに生えたり、時には横に生えることで他の歯にあたったり、歯茎の中でトラブルを起こすことが痛みの原因となります。
2つ目は「歯が磨きにくいこと」です。親知らずは最も奥に生えてきて、スペースも狭いため汚れが溜まりやすく歯ブラシも届きづらいことが多い歯です。そのため、しっかり磨いているつもりでも食べかすや歯垢が残り、それが原因で虫歯や歯周病に罹患し、痛みを引き起こす原因となることが多いと言われています。
原因 | 理由・対処法 |
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智歯周囲炎 | 親知らずが生える際に起こる歯茎や歯周組織の炎症です。原因は親知らずがしっかり萌出できないことにあり、放っておくと徐々に症状は悪化してしまいます。時には顎や顔面が腫れたり、発熱することもありますので、歯科受診が必要となります。 |
親知らずの虫歯 | 親知らずはブラッシングが困難で、食べかすや歯垢が溜まりやすいため、虫歯になりやすい歯です。また、横向きに生えた歯や埋まった歯が、見えないところで虫歯になっていることもあるので、歯医者に検診に行っても初期段階では見つからないこともあります。 |
歯周病 | 歯ブラシが届かず溜まった歯垢は、菌の住処となり、当然歯周病の原因となります。また、その溜まった歯垢はやがて歯石となり、歯周ポケット内にできた歯石は、歯周病の進行を早める原因ともなり得ます。 |
親知らずの萌出 | 親知らずが萌出する際には、隣の歯を押したり、歯肉を突き破って出てこようとするため、痛みを感じることがあります。この萌出が原因の痛みは、しばらくすると親知らずが顔を出し、治まることもあります。しかし、抜歯が必要な場合もありますので、痛みが治まっても歯医者さんに診てもらうことをお勧めします。 |
知覚過敏 | 親知らずも他の歯と同じく知覚過敏を感じることもあります。継続的な痛みではなく、冷たいものを口にした際などに感じる痛みであれば、この知覚過敏である可能性はあります。ただし、もし知覚過敏でない場合は放置すると症状を進めることになりますので、頻繁に痛みを感じる場合や痛みが強くなる場合は歯科を受診しましょう。 |
では、そもそも親知らずとはどんな歯なのでしょうか?親知らずは本来「第三大臼歯」という最も奥の歯のことです。永久歯は通常15歳前後で生え揃いますがこの親知らずは生える時期が安定しておらず、15〜20代に萌出し始めることが多いとされています。そのため、親知らずは咬み合わせを保つ上で必要ない場合が多く、親知らずが生えることで虫歯や歯周病など、お口のトラブルを引き起こす原因となる場合が多いため、抜歯を勧められることがあります。
ちなみに「親知らず」という名前は、この歯が成人してから生えることため、親がその萌出したことを知らないので親知らずと呼ばれるようになったとか、平均寿命の短い時代では、親知らずが生える前に親がなくなったためという説もあります。いずれにしても「生えるのが遅い」ことからこのネーミングになったものと考えられます。
親知らずが急に痛くなった場合、親知らずや親知らず周辺に何らかの問題が起きていると考えられます。お痛みを感じた場合は焦らず痛みを感じる患部周辺を優しくブラッシングして、歯医者があいていなければ薬局で痛み止めを購入するなど、痛みを抑える手段を考えましょう。また、腫れがある場合は患部を冷やしましょう。お薬を服用される場合は、薬剤師さんに相談し、用法用量を守ってご使用下さい。
ブラッシングをする理由は、親知らず周辺のお痛みは「落としきれていない汚れ」が原因となっていることが多いから。そんなことで痛みが治まるの?と懐疑的になってしまう気持ちはわかりますが、試しに磨いてみると、痛みが少し治まるかもしれません。
ただし、もしそれで痛みが治まっても、それは一時的な緩和であると考えられます。それより激しい痛みや顔が腫れることも考えられますので、早めに歯医者さんを予約しましょう。
親知らずが痛くなるタイミングは人それぞれですが、よくお伺いするのは「忙しいとき」「疲れているとき」です。親知らずに限らず、炎症は疲れや睡眠不足、体力の低下時に起こりやすいとされています。
歯周炎も同じく炎症ですので同じことが言えます。智歯周囲炎や歯周病の原因は菌ですので、免疫力が下がるとこの菌に対する抵抗力が落ちて、炎症を起こしやすくなります。
親知らず痛みだしたら、食事も取りにくくなりますが、栄養をしっかり取って体力・免疫力を回復することも重要です。ゼリーや柔らかいものでしっかり栄養補給をして、安静にすることも炎症を抑える上で大切になります。
親知らずといえば、「抜歯が必要」と思っておられる方も多いようです。しかし、実は中には抜歯をしなくても良い親知らずもあります。まっすぐ生えて、咬み合わせに問題がなければ抜歯の必要はありません。ただし、まっすぐ生えていても、虫歯ができやすかったり、歯垢が溜まりやすい場合は治療が難しい場合もありますので、抜歯をした方が良い場合もあります。
また、最近では歯髄細胞バンクや親知らずの移植など、親知らずを有効利用する方法も出てきていますので、興味がある方は歯科医院にてご相談下さい。
とはいえ、今のところ親知らずは抜歯をした方が良い場合が多い歯です。抜歯が必要かどうかは、レントゲンを見ながら歯科医師とご相談いただくことをお勧めします。
親知らずの抜歯をする際、多くの方が気になるのが抜歯後の腫れや痛みです。腫れるか腫れないかでいうと、腫れやすい部位です。特に下顎は歯の根が強固に固定されているため、抜歯術も複雑になり、侵襲が大きくなります。つまり腫れやすいです。腫れのピークは2〜3日で、1週間から10日ほどで治まります。
痛みに関しては、抜歯の際は麻酔を効かせますので、抜歯そのものに対する痛みは感じないケースが多いです。ただし、歯を分割したり、力をかけることがありますので、その振動や支点への圧迫を感じる場合はあると思います。これに関しては歯科医師の経験や力量に左右されることも多いとは考えられます。痛みのピークは抜歯当日(麻酔が切れた後)〜翌日で、徐々に痛みは消失していき、1週間強で痛みは消失していきます。痛みが強いうちは処方された鎮痛剤を服用しましょう。
親知らずの抜歯が必要だけど、かかりつけの歯科医院では抜歯ができないと言われる場合があります。その際は大学病院や基幹病院の口腔外科など、入院設備などが整った病院をご紹介されると思います。
これは別に「入院が必要」というわけではなく、抜歯をすることで何らかのリスクを伴う場合です。特に下顎などは下顎管という大きな神経が通っているため、抜歯後に麻痺や障害が残ることがあります。
私は過去に病院の歯科口腔外科に勤めていたため、このようなリスクの高い抜歯ばかりを経験してきました。ですから、どんな状態でも抜歯自体はできます。しかし、抜歯後のリスクを考えると、やはり何かあったときのことを考え、病院へのご紹介をさせていただいています。
ただし、紹介になったからといってリスクが「高い」わけではありません。ほとんどの方は、何事もなく抜歯ができますのでご心配される必要はありません。あくまで患者様の安全を考えての措置となります。
親知らずは生える時期も人それぞれで、突然痛くなることもある、人によってはやっかいな歯かもしれません。また、抜歯が必要となれば、それなりに覚悟が必要な人もおられると思います。ですから、できれば親知らずが痛くなる前に「どんな生え方をして」「抜歯が必要かどうか」「抜歯をするならいつ頃するか」などを予め歯科医師とご相談頂くことをお勧めします。
痛くなってからだと、抜歯だけではなく炎症に対する治療が必要になったり、突然抜歯が必要になってお仕事や学業に影響が出ることもあります。
また、親知らずが虫歯や歯周病になると、周りの歯にも感染・影響する恐れもあります。親知らずが原因で他の歯の健康を害することがないよう、注意しておく必要があります。
「親知らずが生えてきた」「親知らずが気になる」と思ったら、歯科医師に相談するタイミングかもしれません。親知らずのことが気になりはじめたら、お気軽にご相談にお越し下さい。
この記事の編集・責任者は歯科医師の西森智です。
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