このページの目次
親知らずは、10代後半から20代頃にかけて生えてくる、一番奥の臼歯(奥歯)です。親知らずは顎が小さくなった現代人にとって咬み合わせを構成する歯としては考えにくいため、清掃性や咬み合わせのへの影響などを考え「抜歯したほうが良い」とされることが多い歯です。
もちろん、人によっては抜歯をしなくても良い場合(まっすぐキレイに生えている)もありますし、抜歯をするしないは個人の判断です。しかし、歯科医院に検診に行くと「悪くないけど将来悪さをさせないために抜歯したほうが良い」とか「隣接面が虫歯になっている」「清掃ができずに歯石がたまっている」などの理由で、抜歯を勧められる場合もあります。
そこで多くの方が気になるのが「抜歯・抜歯後の痛み」や「抜歯後の腫れ」、「抜歯後の傷が治るまでの期間」などです。そこで、親知らず抜歯後の痛みや腫れのこと、抜歯後に比較的多く現れる偶発症についてご説明します。
親知らずの抜歯術は、通常局所麻酔を行っていますので、痛みを感じることは多くはありません。それでも力がかかったり、歯を割る場合などは不快な音や振動から「痛い」「怖い」と感じることはあるかもしれません。
しかし痛みのピークは、抜歯の後にやってきます。よく言われるのは「麻酔が切れた瞬間」で、そこから当日1日はジンジンと痛むことが考えられます。そんなときは我慢せず、処方された痛み止めのお薬を服用して痛みを抑えましょう。痛みの程度は、弱い方もいれば強く出る方もおられます。1日経てば血が固まり、痛みは少しましになってきます。痛みはおよそ2〜3日続き、その後徐々に喪失してきます。
また、親知らず抜歯は痛みだけでなく腫れを伴うこともあります。腫れは痛みより少し遅れて現れ、抜歯後2日目ぐらいがピークとなります。傾向としては、上顎の方が骨が柔らかいため抜歯もスムーズに終わり、痛みや腫れも少ない場合が多く、下顎は痛みが強く出る場合があったり、大きく腫れる場合があります。
親知らずの抜歯は、小さな手術のような処置となります。そのため、偶発症という、抜歯に伴う症状が現れることがあります。
親知らず抜歯後の偶発症は程度の軽いものから重いものまで様々ありますが、代表的な偶発症は、「ドライソケット」と「術後感染」です。
ドライソケットは、抜歯後の穴を防ぐ血餅(抜歯窩を塞ぐ血の塊)ができないために痛みが出る症状で、術後感染は抜歯後の穴に細菌が入り込んで感染症を起こす事を言います。これらはそれぞれ単独で起こることもあれば併発することもあります。
親知らず抜歯後に強い痛みが続いたり、3日経っても痛みが治まらない、腫れがひどくなる、発熱したなど、気になることがあったら迷わず担当医に相談しましょう。偶発症が起こったとしても、早めの処置で重症化を防げる場合があります。
ドライソケットになると、通常は痛みが落ちつくはずの3日目〜5日目から、強い痛みが現れ初めます。この痛みは1週間〜10日ほど続きます。痛みが続く場合は早めに歯科を受診して下さい。
通常、親知らずの抜歯をすると、その歯が埋まっていた部分に「血餅」という血の塊が出来ます。この血餅が傷口に蓋をしている間に、2〜3週間かけて徐々に歯肉が修復されることで傷口が塞がっていきます。
しかし、この血餅が出来なかったり途中で取れてしまった場合、抜歯窩は骨が露出した状態で、そこに刺激が加わると骨に直接響いて痛みを覚えます。
ドライソケットになると、痛みが完全に治まるまで1ヶ月以上かかることもあります。痛みが続いたり、3日目以降に痛みが強くでた場合は、ドライソケットを疑い、すぐに担当医に相談しましょう。
ドライソケットになってしまった場合、まず考えられる処置は投薬です。続く痛み耐えるための鎮痛剤、感染を防ぐ・止めるための抗生剤を服用することで、痛みに対処し、悪化を防ぎます。
ドライソケットの程度が悪く、骨への細菌感染が強く見られる場合は、「掻把」といって抜歯窩の汚れや付着物を取り除き、傷口をキレイにします。その上で出血させることで、血餅の生成を促します。
「そのうち治る」と思って放置してしまうと、感染した骨が壊死して骨を削る処置が必要になったり、傷跡がしっかり治らない場合があります。
ドライソケットが起こると適切な処置が必要ですので、放置せずに歯科を受診してください。
ドライソケット・術後感染しないためには、「傷口をキレイにする」「清潔にする」ことがまず第一です。しかし、だからといって何度もうがいをしたり、必要以上に舌や指、歯ブラシで刺激すると血餅ができなかったり剥がれてしまうため、今度はドライソケットの原因になることもあります。ドライソケット・術後感染を予防するために、抜歯後は以下のことにご注意下さい。
親知らずの抜歯は、どの歯科医師でも行うような治療ですが、実はその経験・スキルによって抜歯のスムーズさや術後の痛みや腫れ、侵襲の大きさなどに差がでます。ですから例えば歯科口腔外科出身の歯科医師などは、親知らずの抜歯の経験が豊富な場合が多いです。
また、親知らず抜歯に大掛かりな設備は使いませんが、親知らずを抜く前にはCTによる検査を行ったほうが良い場合があります。それは診療所では「抜かないほうが良い」親知らずがあるためです。上顎洞の近くの親知らずは上顎洞に迷入するリスクがあったり、下顎の親知らずは大きな神経の近くに生えている場合があり、抜歯によって顎に麻痺が残ることもあります。このような親知らずは偶発症の可能性は低くても、入院や他科との連携可能な大学病院などでの抜歯が適切なことも多いです。
これらを事前に予見するため、CTによる検査で親知らずと周り組織の位置関係を立体的に把握する必要があります。
また、ドライソケットになってしまうと歯科医師による処置が必要ですが、「担当医に失敗された」と思って他の歯科にかかりたいという方も少なくありません。しかしこれは偶発症であり、治療のミスではありません。それでも他の歯科にかかりたいという場合は、どこの歯科でも受け入れてはもらえると思います。まずはそのドライソケットを治療しましょう。
親知らず抜歯もドライソケットも、痛みは怖いかもしれませんが、抜歯した方が良いこともたくさんあります。抜歯や治療で悩むなら、お気軽にご相談下さい。
この記事の編集・責任者は歯科医師の西森智です。
曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
診療開始 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 |
診療終了 | 18:30 | 18:30 | 13:00 | 18:30 | 18:30 | 17:00 |
診療情報
休診日:日曜・祝日
他のエリアでもアップル歯科の治療を受けられます